幹雄 郷
修理見積もりが出来るまで
更新日:6月13日
お見積もりが出来た時には、ほぼ修理が完了している
その訳を順を追ってご説明させていただきます。
「今のオーディオの修理」と「ヴィンテージ・オーディオの修理」との違いから参ります。
これを少し説明させていただきますね。
今、メーカーがされる修理は基本的に アッセンブリー交換 です。
アッセンブリー交換とは
トラブルのある個所の基板(モジュール)を 基板ごとごっそり交換する と言う方法です。
トラブルの元と思われるコンデンサやトランジスタ
抵抗、IC等のパーツを探したりはしません。
もちろん交換もしません。
基板(モジュール)ごと交換します。
作業手順は、
修理チャート(修理のための手引き書)に従い
「xx 基板を交換しましょう」→「直りましたか?」
ダメなら次は「△△基板を交換しましょう」→「直りましたか?」
と言った様に
トラブルに合わせて関連性の高い基板を
順次交換して行きます。
ですので、
トラブルの症状だけで、
交換する基板の最小と最大がほぼ予測出来ます。
また工賃も同様です。
実際に物を見なくても、おおよその金額が
お客様に提示出来る理由はこれです。
では、ヴィンテージ物の場合は? ですね。
先ず、真空管アンプには基本的に基板はありません。ラグ配線です。
こんな感じですね。

写真の物は黎明期のトランジスタアンプです。
この時代は真空管アンプとほぼ同じ作りです。
先ずは目視でチェック
次いで測定器をつないでチェック
故障の原因を特定して行きます。
そして故障箇所を見つけましたら、
パーツ単独での故障なのか
それとも
他に原因があって、そこが壊れたのか?
を注意深く探って行きます。
壊れ方の辻褄がきちんと合えば
不良パーツを交換します。
機器による測定をし
問題が無ければ通電したまま
音楽信号を流して半日から1日
様子をみます。
更に2〜3日の実動作によるランニングテストをして
何も無ければ修理完了です。
※実はこの追加のランニングテストで
隠れていた故障箇所や
修理始めにはわからなかった故障箇所を
見つける事が出来ます。
シリコン・トランジスタ・アンプでも
真空管アンプと作業は同じです。

写真のアンプは基板配線ですが、昔々の物です。
動作保証のある基板が手に入るわけはありません。
やはり故障状態から故障箇所の特定
不良パーツの特定をし
辻褄が合うかを考え
修理して行きます。
おおよそ、
これで直るだろう となって初めて
お見積もりが出来ます。
すなわちヴィンテージ物の修理は
お見積もりが出来た時には、ほぼ修理が完了している
と言うわけです。
お預かりしてからお見積もりまで
ある程度の日数が必要なのです。
そんな訳でご相談時に
ああ、それでしたら、xx円で直りますよ〜
とご案内出来ないのです。
トラブルの元ですから。
ご質問等はお気軽にお問い合わせください。
ヴィンテージアンプの修理、お待ちしております。